鬱、無職、窓辺にて。

現在はただの窓辺です

2019下半期:あいちトリエンナーレ(1/2)

前回のも含め、いずれ書こうと思ってタイトルだけ付けた下書きがたくさんたまっている。そろそろ1年経ってしまうので振り返りのような過去日記をのんびりと投稿していきたい。

去年の秋にあいちトリエンナーレへ行った。きっかけは、監督である津田大介氏が掲げたアーティストのジェンダー平等というコンセプトをtwitterで見かけたこと。

 それまで自らの意思で美術館や芸術祭に出向いたことはなかったが、ここ数年で文化・芸術への関心がとても高くなっていたので非常にいい機会だった。

感想を1つ1つ書いていると永遠にアップできないと思うので写真に残していたものを中心に雑に進めていく。

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壁が可愛い

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■10分遺言
誰かが誰かに向けて(もしくは誰に向けるわけでもなく)10分間で書いた遺言が表示される。
タイプトレースという手法が使われていて、文字の打ち直しや言葉に迷っている時間など筆者が自身のデバイスで文章を作る工程をそのまま映像として見ることができる。
タイピングの音と同一フォントの文字が流れるだけの無機質な空間だったが、ためらいながら作られる文章の向こうに確かにヒトを感じてとても不思議な気持ちになった。ずっと見ていられる気がした。
部屋の中央にはディスプレイとキーボードが1セット置かれていてキーが自動で動いていた。まさにそこで誰かが遺言を書いているかのようだった。

調べたら現在もネット上で他人の遺言が見られるみたいだ。興味があったら"#10分遺言"でツイート検索してみてください。

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企画展「表現の不自由展・その後」が閉鎖されるという問題が生じ、このように抗議として展示をボイコットするアーティストが多くいた。

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 ■The Clothesline/モニカ・メイヤー
clotheslineは物干しロープという意味らしく、ハラスメントや被抑圧の体験を来場者から集め洗濯物のように吊るすことで性差別の現状を可視化し共有する。こちらも抗議のために、破られた用紙(白紙)が床に散らばっていた。
この作品は来場前から知っていたので見れなくて少し残念。

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イカ~~~
メロン~~~
イカかわいい

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■THE ROMEOS/ドラ・ガルシア
これも抗議のため中止とされていたが、内容が大変おもしろい。冷戦時代の東ドイツでスパイマスターのマルクス・ヴォルフが考案した「ロミオ」というスパイ作戦に着想を得たという。

 あいちトリエンナーレに潜入した若い男性のグループ、彼らの使命は親しみやすく何気ないふるまいで来場者たちを魅了すること。彼らの行動は礼儀正しく丁寧だが、相手の同意があればより親密に接してこようとする。たとえばより長い会話、ジョーク、褒め言葉などで。会話はそこで終わるかもしれないし、約束や友情につながるかもしれない。もしかすると、恋にも。
 このことを知ってしまった今、あなたは尋ねてきた魅力的な青年にどう接しますか?彼の優しい物腰と笑顔を信じますか?演技だと分かっていても彼の好意を受け入れ、それが続く限り身を任せて楽しみますか?
いずれにせよ、安心してください。ロミオたちは決してあなたが何をしたのか、何を言ったのか、誰にも言いませんし誰も知ることはありません。

私は多分サササーッと逃げるな。いや、どうだろう、松田翔太似のイケメンだったらどうしよう。

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the clotheslineの手法をそのまま使ったもので、トリエンナーレの中盤から登場した作品。

詳細がコチラ→ YOur Freedom | ReFreedom_Aichi

私も1枚書いて投函しておいた。

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お昼ご飯
どう見てもうまい肉

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■無情/藤井光
左:台湾の人々を「日本人化」する目的で設置された国民道場の映像
右:現在愛知県内で学び働く若い外国人がそれを真似た映像
現代の人間によって演じられたものと対比させることで過去の出来事を単なる過去と感じさせない良い作品だった。

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■レンタルあかちゃん/しんかぞく
廃墟のようなサイゼリヤの屋上に作られた、キュートで異様な空間。
保育士エプロンを身につけたおじちゃんたちがこんにちは~と迎えてくれ、スタンプラリーのように進む参加型作品だった。用紙にコピーされたあかちゃんを受け取り、バーチャルアトラクションで遊ばせたりお絵かきしたりとなんだか楽しい。

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ゴールには来場者が子守をしたあかちゃんが壁いっぱいに、そしてその大元となる原画が貼られていて継承やつながりを感じさせる仕組みとなっていた。
置いてあった制作ノートはちゃんと読む時間がなかったが、深いねらいがあるようだった。
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しんかぞくの代表である和田唯奈さんの絵は、つるつるキラキラとしていておんなのこの可愛さを詰め込んだような印象を受けるが、過激でどこか暴力的でもあり不思議な魅力がある。

(次の記事へ続く)